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「口腔ケアの拒否」が栄養リスクのサインに ~ 知的障害のある成人55人の施設入所者を調査、拒否があると低栄養リスクが高い可能性 ~

令和8年1月5日
公立大学法人 九州歯科大学

公立大学法人 九州歯科大学(キャンパス:福岡県北九州市、学長:粟野 秀慈) 口腔保健学科 歯科衛生士育成ユニット 泉繭依講師らの研究グループは、知的障害のある成人の施設入所者55人を対象に、日常ケアの中でみられる「口腔ケアの拒否(歯みがき等への抵抗)」と栄養状態の関連を検討しました。その結果、栄養リスク(MNA-SF※1で判定)がある群では口腔ケア拒否の割合が高く、年齢や性別などを調整しても、拒否がある人は栄養リスクとなるオッズが高いことが示されました。

本研究は、熊本県の障害者施設の協力のもと、開業医の我那覇生純先生(熊本きずな歯科医院(熊本県熊本市南区))と共同で実施しました。

本研究結果は、2026年1月2日にElsevierが発刊するSpecial Care in Dentistry誌(電子版)に掲載されました。

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【本研究発表のポイント】
  • ●栄養リスク群で口腔ケア拒否が多い(栄養リスク群:拒否50%、栄養正常群:拒否16.2%)。
  • ●年齢・性別等を調整後も、口腔ケア拒否は栄養リスクと独立して関連(OR 9.23、95%CI 1.10–77.33)。
  • ●一方で、舌苔指標(TCI※2)には拒否の有無で差がなく、口腔清掃状態そのものよりも「拒否」という行動所見が重要なサインになり得ることが示唆された。
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【九州歯科大学 口腔保健学科 歯科衛生士育成ユニットについて】

全ての世代に対する幅広い歯科衛生活動の基盤となる歯科予防処置、歯科診療補助、歯科保健指導の実践に必要な教育を行っています。社会に求められる歯科衛生活動は、ライフステージや健康段階別の対象者の状態を理解した上で、日本の保健医療システムに則った多職種連携の実践により、地域住民の健康増進並びにQOLの向上に繋がるものです。歯科衛生生士育成ユニットは、歯科衛生士としての根幹を形成し、どのような状況の対象者に対しても適切に支援できる人材の育成を目指す、臨床経験豊富な歯科医師と歯科衛生士による教育組織です。
 

【研究の方法】
  • ●対象:知的障害のある成人55人(男性56.4%、年齢中央値57歳[32–90歳])
  • ●期間:2025年2–3月に実施
  • ●実施場所:熊本県の障害者支援施設
  • ●口腔ケア拒否の定義:スタッフによる口腔ケア時に抵抗・不快の表出があること。過去1か月のケア記録に基づき、少なくとも2名のスタッフ合意で判定。
  • ●栄養評価:MNA-SF(0–14点)で「正常(12–14点)」と「リスク/低栄養(0–11点)」に分類
    ●その他評価:日常生活動作能力(FIM、Barthel Index)、体組成、舌苔(TCI)など

 

【研究の成果】
  • ●栄養リスク群(n=24)では、口腔ケア拒否が50%(12/24)、栄養正常群(n=31)では16.2%(5/31)でした。
  • ●二項ロジスティック回帰分析(年齢・性別等を調整)では、口腔ケア拒否が栄養リスクと有意に関連し、オッズ比は9.23(95%CI 1.10–77.33)でした。(モデルの識別能:AUC 0.90)

 

【社会的意義】
  • ●介護・支援の現場では、「歯みがきを嫌がる」「口を開けない」などの拒否は日常的に経験されます。本研究は、そうした拒否が単なる“手技上の困りごと”にとどまらず、栄養リスクに早期に気づくためのサインになり得ることを示唆します。
  • ●拒否が見られた場合、口腔ケア手技の工夫だけでなく、栄養スクリーニング(MNA-SF等)や多職種連携につなげる実装が期待されます。

 

 

<ファーストオーサーコメント> 口腔保健学科 泉 繭依 講師izumi_1.jpg

現場でよくある「歯みがきを嫌がる」「口を開けない」といった拒否が、栄養リスクと結び付く可能性を示しました。清掃手技の工夫に加え、拒否が見られたら体調・痛み・食事量の変化にも目を向け、MNA-SFなどの栄養スクリーニングや多職種連携につなげてほしいです。

 

【用語の解説】

※1 MNA-SF:低栄養リスクを評価する6項目の簡易スクリーニング(0–14点)。
※2 TCI:舌の汚れ(舌苔)を0–18点で評価する指標。

 

【論文題目】

題名:Association between oral-care refusal and malnutrition risk among adults with intellectual disabilities: a cross-sectional study in two Japanese residential facilities.
著者:Maya Izumi, Seijun Ganaha, Sumio Akifusa
論文雑誌:Special Care in Dentistry誌
DOI:https://doi.org/10.1111/scd.70135.

 

【謝辞】

本研究は、日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)24K13245の助成を受けて行われました。

 

【問い合わせ先】

九州歯科大学 口腔保健学科学科 歯科衛生士育成ユニット
講師 泉 繭依(いずみ まや)
E-mail: r15izumi■fa.kyu-dent.ac.jp
※送信時は、■を@に置き換えてご送信ください。

 

【公立大学法人九州歯科大学について】

九州歯科大学は、全国にある歯学部、歯科大学の中で唯一の公立大学で、歯学科と口腔保健学科からなる「口腔医学の総合大学」です。私たちが考える歯学とは「口の健康」を通して、日々の生活を、幸せを支える医療です。歯学部並びに大学院歯学研究科において、歯学のプロフェッショナルの育成に取り組んでいます。また、併設する附属病院は1914年開設以来、地域に密着した歯科の専門性を持った中核病院として歩み続けています。

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<概要>

学校名  九州歯科大学
所在地  福岡県北九州市小倉北区真鶴2丁目6番1号
学 長  粟野 秀慈
設 立  1914年
H P   https://www.kyu-dent.ac.jp/

 

プレスリリース資料(PDF:747KB)icon_pdf.gif

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