診療科のご案内 保存治療科

概要

保存治療科は「歯の治療」を行う診療科です。歯の治療にはコンポジットレジンなどの審美的歯科材料を用いた保存修復治療、歯髄や根尖歯周組織に発症した疾患に対する歯内治療、それに続く機能回復治療が含まれます。特に、歯科用実体顕微鏡(マイクロスコープ)を用いた高精度な専門的治療を実施し、他の歯科医院などから紹介された難治性の痛みを抱える症例に対応しています。また、関連他科と連携し総合治療を展開しています。

歯科用マイクロスコープ下で治療を実施

歯科用マイクロスコープ下で治療を実施

歯の破折をコンポジットレジンで改善した症例

歯の破折をコンポジットレジンで改善した症例
(左:治療前、右:治療後2年経過)

外来担当表

対象となる疾患・症例

う蝕(虫歯)、歯の破折、歯髄炎、根尖性歯周炎、審美障害 など

検査・治療法の特徴

  • 歯内治療
    歯髄や根尖歯周組織に生じた疾患に対し、通常の歯内治療および歯根尖切除などの外科的歯内治療をマイクロスコープ下で実施します。
  • 保存修復治療
    歯に生じたう触(ムシ歯)や外傷による歯の破折などに対し、コンポジットレジンなどによる審美性を考慮した治療を実施します。

診療実績

年間患者数:約4,099名(1日平均患者約17名)
(2022年度実績)

当科で実施している自由診療について

1.抜髄(ばつずい)
  • 【治療の概要】
  • う蝕(うしょく:むし歯)がかなり深く進行した場合や、歯髄(しずい:歯の神経)の炎症が悪化した場合に、悪くなった歯髄と細菌の入り込んだ根管壁(こんかんへき:根の壁)を除去する治療です。保存治療専門医による歯の根の治療です。治療の際には麻酔によって歯の神経をしびれさせて悪くなった神経を除去します。この治療により歯の痛みを取り除きます。
  •  
  • 【治療の標準的な費用】
  • 1歯につき治療スタートから根を詰めるまで
  • 1根管:約9万円
  • 2根管:約10万円
  • 3根管:約11万円
  • (初診料・再診料や診査・診断料などは含まれません。)
  •  
  • *治療スタートから根をつめるまでにはいくつかの段階があり、段階毎の費用も個別に設定しております。詳細は受診時に担当医が提示いたします。
  •  
  • 【治療に関するリスクや副作用など】
  • • 治療にあたり歯科用実体顕微鏡や歯科用コーンビームCTといった先端機器を使用しますが、診断・治療の精度には限界があります。
  • • 必ずしも歯を保存できるわけではありません。
  • • 症状が改善するまで治療回数が多くかかることがあります。
  • • 使用する薬剤が歯ぐきや粘膜に触れると傷ができる可能性があります。
  • • 歯に穴が開いているまたは亀裂(きれつ:ヒビ)や割れ目が入っているなど歯の保存が困難なケースもあり、場合によっては抜歯(ばっし:歯を抜く)を選択することがあります。
  • • 治療自体に対する体の反応によって、治療後に痛みや腫れが出ることがあります。
  • • 治療をしてどの程度の期間安定した状態を保つかは、それぞれの歯によって差があります。
     
2.感染根管治療(かんせんこんかんちりょう)
  • 【治療の概要】
  • 歯髄(しずい:歯の神経)が悪くなった歯、もしくはすでに歯髄を除去され根尖歯周組織(こんせんししゅうそしき:根の先の骨組織など)に病変ができている歯に対して行う、保存治療専門医による歯の根の治療です。治療のたびに薬剤を使用して洗浄と薬の交換を続け、不快症状の消失を確認後に根管の内部を歯科用材料で封鎖をします。この治療により,歯の根の中に入り込んだ細菌・感染物質や歯の痛み・歯ぐきの腫れを取り除きます。
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  • 【治療の標準的な費用】
  • 1歯につき治療スタートから根を詰めるまで
  • 1根管:約11万円
  • 2根管:約12万円
  • 3根管:約13万円
  • (初診料・再診料や診査・診断料などは含まれません。)
  •  
  • *治療スタートから根をつめるまでにはいくつかの段階があり、段階毎の費用も個別に設定しております。詳細は受診時に担当医が提示いたします。
  •  
  • 【治療に関するリスクや副作用など】
  • • 治療にあたり歯科用実体顕微鏡や歯科用コーンビームCTといった先端機器を使用しますが、診断・治療の精度には限界があります。
  • • 必ずしも歯を保存できるわけではありません。
  • • 症状が改善するまで治療回数が多くかかることがあります。
  • • 使用する薬剤が歯ぐきや粘膜に触れると傷ができる可能性があります。
  • • 歯に穴が開いているまたは亀裂や割れ目が入っているなど歯の保存が困難なケースもあり、場合によっては抜歯(ばっし:歯を抜く)を選択することがあります。
  • • 治療自体に対する体の反応によって、治療後に痛みや腫れが出ることがあります。
  • • 治療をしてどの程度の期間安定した状態を保つかは、それぞれの歯によって差があります。
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3.歯根端切除術・逆根管充填(しこんたんせつじょじゅつ・ぎゃくこんかんじゅうてん)
  • 【治療の概要】
  • 感染根管治療(かんせんこんかんちりょう:項目2.感染根管治療の項をご参照ください)を行っても治らない場合や、様々な理由により感染根管治療が不可能な場合に行う小手術です。保存治療専門医による歯の根の治療のひとつです。歯ぐきを切開し、骨に小さな穴を開け、歯の根の先端付近とその周囲の病変(病気の部分)を取り除きます。その後、歯の根の切断面に小さな穴を開け歯科用材料で封鎖します。この治療により抜歯(ばっし:歯を抜く)をせずに歯を保存します。
  • 前歯(まえば)や小臼歯(しょうきゅうし)が治療の対象で、大臼歯(だいきゅうし)ではほとんど行われません。また、歯根の周囲に上顎洞(じょうがくどう:鼻の横の鼻水が溜まるところ)や太い神経が存在する場合も行えません。
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  • 【治療の標準的な費用】
  • 1歯につき約6万円
  • (初診料・再診料や診査・診断料などは含まれません。)
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  • 【治療に関するリスクや副作用など】
  • • 治療にあたり歯科用実体顕微鏡や歯科用コーンビームCTといった先端機器を使用しますが、治療の精度には限界があります。
  • • 必ずしも歯を保存できるわけではありません。
  • • 基本的には、感染根管治療により治癒しない場合の追加の処置です。そのため、感染根管治療を行わずに本手術だけを行った場合は、再発の可能性が高まります。
  • • 手術後は感染や腫れ、痛みを軽減させるために抗菌薬(化膿止め)と消炎鎮痛薬を服用していただきますが、数日間は歯ぐきや唇、頬に痛みや腫れ、内出血、しびれ感等を感じることもあります。
  • • 切開のアトが歯ぐきに残ることがあります。また、歯ぐきが少し下がることがあります。
  • • 病変が大きな場合、骨が完全にできないことがあります。
  • • 手術により歯根が短くなるため、長期的には歯が動揺するリスクが高まる可能性があります。
  • • 手術後に再発する可能性があります。その際は、再手術、あるいは抜歯(ばっし:歯を抜く)を選択する場合があります。
     
4.根管内異物除去(こんかんないいぶつじょきょ)
  • 【治療の概要】
  • 歯内治療(しないちりょう:根の治療)を行う際に、治療用の器具が偶発的に折れ、根の中に残ることがあります。根の中に留まっている限り、この器具自体が病気の原因となることはありません。しかし、根管が感染し感染根管治療(項目2.感染根管治療の項をご参照ください)を行う必要がある場合には、この残存する器具片が治療の邪魔をするため取り除く必要があります。この器具片を取り除く処置が、根管内異物除去です。保存治療専門医による歯の根の治療のひとつです。
  • 処置は歯科用実体顕微鏡で器具片を確認し、超音波振動装置を用いて行います。また、歯科用コーンビームCTによる事前診査により器具片の位置を特定します。
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  • 【治療の標準的な費用】
  • 1根管につき約5万円
  • (初診料・再診料や診査・診断料などは含まれません。)
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  • 【治療に関するリスクや副作用など】
  • • 歯根の器具片周囲の壁を削る必要がある場合が多く、歯根が薄くなります。また、歯根の壁に穴が開くこともあります。それらにより、歯が弱くなる可能性があります。
  • • 全ての器具片を除去できるわけではありません。上記のリスクを考慮した上で、除去しない方がよい場合もあります。
  • • 器具片が除去できても、感染根管治療が必ずしも成功する訳ではありません。
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5.穿孔部封鎖(せんこうぶふうさ)
  • 【治療の概要】
  • う蝕(うしょく:むし歯)がかなり深く進行した場合やこれまでの治療で歯が薄くなってしまい、穿孔(せんこう:歯に穴が開いた状態)した部分に対し歯科用材料で封鎖する治療です。保存治療専門医による歯の根の治療のひとつです。治療の際にレーザーによって悪い組織を一部除去し、薬剤を使用して洗浄を行ったのちに穴の開いた部分を生体親和性の高い歯科用材料で封鎖をします。
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  • 【治療の標準的な費用】
  • 1歯につき約1.5万円
  • (初診料・再診料や診査・診断料などは含まれません。)
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  • 【治療に関するリスクや副作用など】
  • • 治療にあたり歯科用実体顕微鏡や歯科用コーンビームCTといった先端機器を使用しますが、診断・治療の精度には限界があります。
  • • 必ずしも歯を保存できるわけではありません。
  • • 治療後も違和感が残ることがあります。
  • • 使用する薬剤が歯ぐきや粘膜に触れると傷ができる可能性があります。
  • • 歯に穴が開いているまたは亀裂(きれつ:ヒビ)や割れ目が入っているなど歯の保存が困難なケースもあり、場合によっては抜歯(ばっし:歯を抜く)を選択することがあります。
  • • 治療自体に対する体の反応によって、治療後に痛みや腫れが出ることがあります。
  • • 治療をしてどの程度の期間安定した状態を保つかは、それぞれの歯によって差があります。 
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6.ハイブリッドセラミックレジン修復(直接法)

【治療の概要】
コンポジットレジンと呼ばれる歯に似た色の複合材料を使用し、虫歯や外傷などによって失われた歯の形態の再現と機能回復を行う治療です。色調が異なる複数のコンポジットレジンを用い、可能な限り歯の色を再現します。歯にコンポジットレジンを直接接着させるので、歯を削る量は金属による修復法と比較すると最小限で済みます。

【治療の標準的な費用】
歯の隣り合う面を含まないもの:約2.5万円
歯の隣り合う面を含むもの:約3万円

【治療に関するリスクや副作用など】
治療中に虫歯や外傷が歯の神経まで到達した場合は歯髄(歯の神経)を除去しなくてはなりません。
治療後痛みが出る場合もあり、その際も歯髄を除去しなくてはならないこともあります。
治療後、虫歯をとった後の歯の残り方や噛み合わせによって、材料の一部もしくは全部が欠けたり外れたりする可能性があります。
この材料は口の中で硬化させたときに必ず収縮します。そのため歯と材料の境目の色が経年的に目立つことが考えられます。
口の中では経年的に材質は少しずつ劣化します。劣化に伴い材料の変色が生じることが考えられます。
歯の変色の程度によっては色調が希望通りにならない可能性があります。
 

7. 無髄歯漂白(WBT:ウォーキングブリーチテクニック)
  • 【治療の概要】
  • 変色した歯に対する漂白治療のうち、歯髄(歯の神経)が無い歯に行う処置です。必要に応じ、事前に歯の根の治療を行うことがあります。歯の内側に漂白に用いる薬剤を入れ蓋をします。その後、1週間に1度程度のペースで歯の内部の薬剤の交換を行い、目標の色調を得られるまで薬剤の交換を繰り返します。
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  • 【治療の標準的な費用】
  • 1歯につき1回から3回目まで:約1.5万円
  • 1歯につき4回目以降(追加薬剤料):約3,500円/1回あたり
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  • 【治療に関するリスクや副作用など】
  • 漂白の効果は歯の変色の程度や年齢などの要因により個人差があります.希望の色調にならない可能性もあります.
  • 薬剤を歯の内部に入れている間は歯の穴の中に仮の蓋をします。その蓋が外れた場合に歯茎や粘膜に傷ができる可能性があります。
  • 漂白剤が歯の象牙質から浸透して歯の根を吸収させることがあります。
  • 漂白作用によって歯が衝撃に対し弱くなります。それによって歯が割れるリスクがあります。
  • 漂白後も時間経過により色調が後戻りする可能性があります。

医師紹介

北村 知昭
科長
氏名 北村 知昭<きたむら ちあき>
職位 教授
認定 日本歯科保存学会専門医・指導医
日本歯内療法学会専門医・指導医
研修歯科医師指導歯科医
学位 博士(歯学)
専門 保存修復治療、歯内治療
氏名 鷲尾 絢子<わしお あやこ>
職位 准教授
認定 日本歯科保存学会専門医・指導医
研修歯科医師指導歯科医
学位 博士(歯学)
専門 保存修復治療、歯内治療
氏名 折本 愛<おりもと あい>
職位 助教
認定 日本歯科保存学会認定医
学位 博士(歯学)
専門 保存修復治療、歯内治療
氏名 相原 良亮<あいはら りょうすけ>
職位 助教
学位 博士(歯学)
専門 保存修復治療、歯内治療
氏名 村田 一将<むらた かずまさ>
職位 助教
学位 博士(歯学)
専門 保存修復治療、歯内治療
氏名 末松 美希<すえまつ みき>
職位 医員
認定

日本歯科保存学会認定医
研修歯科医師指導歯科医

学位 学士(歯学)
専門 保存修復治療、歯内治療
氏名 森 涼<もり りょう>
職位 大学院生
学位 学士(歯学)
専門 保存修復治療、歯内治療
氏名 御手洗 直幸<みたらい なおゆき>
職位 大学院生
学位 学士(歯学)
専門 保存修復治療、歯内治療
氏名 髙見 梨華子<たかみ りかこ>
職位 大学院生
学位 学士(歯学)
専門 保存修復治療、歯内治療
氏名 三浦 弘喜<みうら ひろき>
職位 研修登録歯科医師
学位 博士(歯学)
専門 保存修復治療、歯内治療、一般歯科

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