概要
保存治療科は「歯の治療」を行う診療科です。歯の治療にはコンポジットレジンなどの審美的歯科材料を用いた保存修復治療、歯髄や根尖歯周組織に発症した疾患に対する歯内治療、それに続く機能回復治療が含まれます。特に、歯科用実体顕微鏡(マイクロスコープ)を用いた高精度な専門的治療を実施し、他の歯科医院などから紹介された難治性の痛みを抱える症例に対応しています。また、関連他科と連携し総合治療を展開しています。

歯科用マイクロスコープ下で治療を実施

歯の破折をコンポジットレジンで改善した症例
(左:治療前、右:治療後2年経過)
外来担当表
対象となる疾患・症例
う蝕(虫歯)、歯の破折、歯髄炎、根尖性歯周炎、審美障害 など
検査・治療法の特徴
-
歯内治療歯髄や根尖歯周組織に生じた疾患に対し、通常の歯内治療および歯根尖切除などの外科的歯内治療をマイクロスコープ下で実施します。
-
保存修復治療歯に生じたう触(ムシ歯)や外傷による歯の破折などに対し、コンポジットレジンなどによる審美性を考慮した治療を実施します。
診療実績
年間患者数:約7,260名(1日平均患者約30名)
(2019年度実績)
当科で実施している自由診療について
1. ハイブリッドセラミックレジン修復(直接法)
【治療の概要】
コンポジットレジンと呼ばれる歯に似た色の複合材料を使用し、虫歯や外傷などによって失われた歯の形態の再現と機能回復を行う治療です。色調が異なる複数のコンポジットレジンを用い、可能な限り歯の色を再現します。歯にコンポジットレジンを直接接着させるので、歯を削る量は金属による修復法と比較すると最小限で済みます。
【治療の標準的な費用】
歯の隣り合う面を含まないもの:21,850円
歯の隣り合う面を含むもの:29,160円
【治療に関するリスクや副作用など】
• 治療中に虫歯や外傷が歯の神経まで到達した場合は歯髄(歯の神経)を除去しなくてはなりません。
• 治療後痛みが出る場合もあり、その際も歯髄を除去しなくてはならないこともあります。
• 治療後、虫歯をとった後の歯の残り方や噛み合わせによって、材料の一部もしくは全部が欠けたり外れたりする可能性があります。
• この材料は口の中で硬化させたときに必ず収縮します。そのため歯と材料の境目の色が経年的に目立つことが考えられます。
• 口の中では経年的に材質は少しずつ劣化します。劣化に伴い材料の変色が生じることが考えられます。
• 歯の変色の程度によっては色調が希望通りにならない可能性があります。
2. 感染根管治療
【治療の概要】
歯髄(歯の神経)が死んでしまった歯、もしくはすでに歯髄を除去され根尖歯周組織(根の先の骨組織など)に病変ができている歯に対して行う、保存治療専門医による歯の根の治療です。根管(歯の根の内部)は細く複雑な形態をしており、そこに存在する細菌や感染物質を除去します。治療のたびに薬剤を使用して洗浄と薬の交換を続け、不快症状の消失を確認後に根管の内部を生体親和性の高い材料で封鎖をします。
【治療の標準的な費用】
1歯につき治療スタートから根を詰めるまで
前歯:約11万円
小臼歯:約12万円
大臼歯:約13万円
【治療に関するリスクや副作用など】
• 治療にあたり歯科用顕微鏡やコーンビーム(歯科用)CTといった先端機器を使用しますが、診断・治療の精度には限界があります。
• 必ずしも歯を保存できるわけではありません。
• 症状が改善するまで治療回数が多くかかることがあります。
• 使用する薬剤が歯茎や粘膜に触れると傷ができる可能性があります。
• 歯に穴が開いているまたは亀裂や割れ目が入っているなど歯の保存が困難なケースもあり、場合によっては抜歯を選択することがあります。
• 治療自体に対する体の反応によって、治療後に痛みや腫れが出ることがあります。
• 治療をしてどの程度の期間安定した状態を保つかは、それぞれの歯によって差があります。
3. 無髄歯漂白(WBT:ウォーキングブリーチテクニック)
【治療の概要】
変色した歯に対する漂白治療のうち、歯髄(歯の神経)が無い歯に行う処置です。必要に応じ、事前に歯の根の治療を行うことがあります。歯の内側に漂白に用いる薬剤を入れ蓋をします。その後、1週間に1度程度のペースで歯の内部の薬剤の交換を行い、目標の色調を得られるまで薬剤の交換を繰り返します。
【治療の標準的な費用】
1歯につき1回から3回目まで:10,880円
1歯につき4回目以降(追加薬剤料):2,950円/1回あたり
【治療に関するリスクや副作用など】
• 漂白の効果は歯の変色の程度や年齢などの要因により個人差があります.希望の色調にならない可能性もあります.
• 薬剤を歯の内部に入れている間は歯の穴の中に仮の蓋をします。その蓋が外れた場合に歯茎や粘膜に傷ができる可能性があります。
• 漂白剤が歯の象牙質から浸透して歯の根を吸収させることがあります。
• 漂白作用によって歯が衝撃に対し弱くなります。それによって歯が割れるリスクがあります。
• 漂白後も時間経過により色調が後戻りする可能性があります。
医師紹介

氏名 | 北村 知昭<きたむら ちあき> |
---|---|
職位 | 副病院長、教授 |
認定 | 日本歯科保存学会専門医・指導医 日本歯内療法学会専門医・指導医 研修歯科医師指導歯科医 |
学位 | 博士(歯学) |
専門 | 保存修復治療、歯内治療 |
氏名 | 諸冨 孝彦<もろとみ たかひこ> |
---|---|
職位 | 准教授 |
認定 | 日本歯科保存学会専門医・指導医 研修歯科医師指導歯科医 |
学位 | 博士(歯学) |
専門 | 保存修復治療、歯内治療 |
氏名 | 鷲尾 絢子<わしお あやこ> |
---|---|
職位 | 講師 |
認定 | 日本歯科保存学会専門医・指導医 研修歯科医師指導歯科医 |
学位 | 博士(歯学) |
専門 | 保存修復治療、歯内治療 |
氏名 | 吉居 慎二<よしい しんじ> |
---|---|
職位 | 助教 |
認定 | 日本歯科保存学会専門医 研修歯科医師指導歯科医 |
学位 | 博士(歯学) |
専門 | 保存修復治療、歯内治療 |
氏名 | 藤元 政考<ふじもと まさたか> |
---|---|
職位 | 助教 |
認定 | 日本歯科保存学会認定医 研修歯科医師指導歯科医 |
学位 | 博士(歯学) |
専門 | 保存修復治療、歯内治療 |
氏名 | 末松 美希<すえまつ みき> |
---|---|
職位 | 医員 |
認定 | 日本歯科保存学会認定医 研修歯科医師指導歯科医 |
学位 | 学士(歯学) |
専門 | 保存修復治療、歯内治療 |
氏名 | 赤尾 瑛一<あかお えいいち> |
---|---|
職位 | 医員 |
学位 | 学士(歯学) |
専門 | 保存修復治療、歯内治療 |
氏名 | 三浦 弘喜<みうら ひろき> |
---|---|
職位 | 大学院生 |
認定 | 顎咬合学会認定医 |
学位 | 学士(歯学) |
専門 | 保存修復治療、歯内治療、一般歯科治療 |
氏名 | 村田 一将<むらた かずまさ> |
---|---|
職位 | 大学院生 |
学位 | 学士(歯学) |
専門 | 保存修復治療、歯内治療 |